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町工場でITが普及しない8つの理由、2つの事実


ITって非常に便利で、そのおかげで単純な処理を全て任せられる時代になっています。

こんな時代にも関わらず、
どうして町工場である、中小企業ではIT技術を使った業務を推進しないのでしょうか?

全ての中小企業がそうとは言いませんが、
製造業界の町工場は全般的に普及率が低いです。

町工場でのITと言えば、設計、工程検討、経理作業 などの合理化などがあります。
具体的にいえば、2D/3D CAD、CAE解析ソフト、経理ソフト・・・

 

売る側のITベンダーも、ロングテールとかいうんだったら
大企業ばっかりに売らずに中小企業にどんどん売っていけばいいはず。

 
なのに、どうして??

技術的に良かれと思うことが、そのままやれる世の中ではないってどういうこと!?

技術は富をもたらすために必要だけど、絶対的に必須なのかっていうとそうでもない。

 

技術は、手を支えるための手段 と以前私が書きました。

なのに普及しないってなんなんでしょうね。。。

 

普及しない各理由

1、今まで通りで何ら問題ない

はっきり言って、従来作業で仕事が進むなら誰も新しいことをしません。
何らかの期待効果がイメージできてこそ、チャレンジできるのです。
そういうイメージがまず持ちにくいんです。
なぜなら、工場の中で日々摂取する情報は限られており、もっと他にも良いやり方があると気付ける余裕がないのです。
暑いし寒いし、汗だくだし機械と戦ってます。
決して悪いことじゃないですが、日々同じことをしてると情報が限られてる。

2、スポンサーである経営者が、期待効果のイメージが描けない。

導入するお金を出すのは実務作業をする従業員ではありません。
彼らがどれだけデータを揃え、必要性を訴えたとしても、最終判断は経営者。
経営者側が投資する価値があると思わない限り導入されないのです。


このリンクをみてください。

中小企業庁:事業承継ガイドライン 20問20答 問1

中小企業の経営者の平均年齢はなんと57歳!
ITに明るい世代ではありません。
そんな経営者たちが、業務改善のためにポンとお金を出すという状況ではないのです。

3、作業員の割り当てが間に合わない

それでも従業員想いの経営者はまだまだこの世に存在しています。

『 (あんまり深くは分からないけど、真剣さが伝わってきたから本当にいるんだろうな・・・)
分かった分かった。
お金は出すことにするよ。でも、誰がどうやって運用するんだい?』

次は大概、この質問が飛んできます。
しかも導入に前向きな社員は大抵若くて、下積み段階。
さらに社員数が少ないため、単純作業はベテランや先輩社員はやりたがらないんですよ~

4、設備償却、維持費の目途がつかない

 

さて、買ってくれるとなった後は、実務者たちに不安がのしかかってきます。
買ったは良いけど、設備償却や維持費を取り返せるような業務に適用できるだろうか? あるいは、それに見合った量や質の仕事が入ってくるのか?っていう疑問です。こればかりはギャンブルみたいなもんです。

時勢の流れから必要と思って投資するんですが、ここにも経営者の意思決定と、実務者の想いのギャップが存在することが見て取れますね。

5、ITソフトウェアのベンダーやデベロッパー側が、使用シーンや適用実務を分かっていない

 

さて導入したとしましょう。
しかしIT設備を使うにつれて、各ユーザーに考慮していない弊害が出てきます。
細かい部分に手が届かなかったり、ユーザーが本質的に必要だと思う機能が付いてなかったり、期待に反して使用効果が小さかったり。。。

ユーザーは基本的に分かっているつもりでも分かっていない大きなことがあります。

それは、ソフトウェアというのは、本来汎用性を持たせて作られたものが多いということです。

換言すれば、一つのソフトでできるだけ多くのユーザーに使ってほしいために、汎用性をもたせるあまり、専門性に乏しいから日常的業務として使えない製品がなんと多いことかってことなんです。 

6、ユーザー側もどんな使い方をすればよいのか分かっていない

ベンダーや開発側だけに責任があるのではありません。
ユーザー側も使い方を理解せずに、”なんか良さそう、ハイテクやん、ナウいやん!” なんてイメージで導入するから悪いんです。
そんなことあるかよっ!って思うかもしれませんが、意外や意外、分かってないユーザーいっぱいいますよ。
ソフトウェアのセッティングを知らずに、出てきた結果やデータをうのみにしてしまい、現場現実現象を無視して設備や金型費どんどんかさんでいくわけですよwww

でも、ベンダーは売れたらこっちのもの。
だからお金払ってくれたらサポート代や出張費は請求しても基本的に笑顔で対応してくれるはず!(笑)

7、周辺機器やオプションも必要になってくる

こうなったらもはやベンダーの思うつぼですね。
”汎用性から専門性に移行するためにオプション料金を頂いて使いやすくしますよぉ~”

っていう甘~い言葉に騙されちゃってください。

8、導入後のメンテに人物金がかかり、目的と手段がごっちゃになってしまう

そして、目的と手段がごちゃごちゃになって、実務がおろそかになってしまい、経営者としては印象が悪いわけですよ。だって、お金に直結していかないから。
”でもね、技術蓄積という意味では重要なんですよ~社長!”  なんて言っても、聞く耳持ってくれませんよ!!

 

 

結局のところ、、、

 

・ケツに火が付くくらい切羽詰まらないと変わらないし、変える気風にならない。

・それを導入すれば儲かるかという判断基準が確信もてるまでは、無いってこと。

 

 

 

また、大企業と中小企業では意思決定タイミングや予算のかけ方は違うってことなんでしょうけど、それはまたの機会に。