有限無限

雑感、書評、セラピーの事、そして時々工学技術的なことなど…

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何かが改善されるのは事故が起きてから

よく建設・工事現場や、生産現場に見学に行くとスローガンのように、みんなに見えるところに大きく貼っているのを見かけます。


『安全はすべてに優先する、今日も怪我の無いよう安全確認!!』 と。


仕事をしに来て、仕事が終われば家族や友人の待つプライベートに安全に帰れる。
それが当たり前。


そのために、作業中に危険な目に遭わないように安全に作業しましょう、危険な行動をとらないように未然に防止しましょう。。。


当たり前です!

でも当然のようですけど、実はそんなことありません。はっきりいってそんなのウソです。


今日はここについて書きたいのです。


いつものように光太郎君に登場してもらって書こうかなと思いましたが、

ちょっと気に止まっている話題なので、

社会派口調でガリガリ書きまくりたいと思います。

 

1、完璧に安全なんてことはない

どれだけ頑張ったって完璧な安全なんて無いんです。

カッターナイフや包丁のように一般生活に近いような道具ですら殺傷能力があるわけです。普段生活でもちょっとした刃物でも手を切ってしまいます。

いずれにしたって、人が作業するのに完璧に安全はありえません。道具そのものが便利である反面、怪我をするリスクもあるわけです。


もちろん、安全に作業しようという気持ちや心がけは大事ですよ。
それこそが、事故に遭わないための唯一のストッパーだとおもいます。

  

2、人知/人智で危険予知できることなんて大したことない。

人間は現在を生きてますが、意外と大半の人は過去に生きてます。
どういう事かっていうと、過去にあった出来事を評価判断して現在を生きようとしているってこと。

もっと具体的に言えば、日航123便の墜落事故やスペースシャトルチャレンジャー号の空中爆発事故のような事故って、誰もすき好んで引き起こしたわけじゃないでしょ?
あの頃はあのころでベストをつくしたんです。
でも、そこまで問題意識が至らなかった ってことでしょ?

事故調査が進み色々明るみにでてきて、
整備作業員が労働環境や作業時間の短さに腹を立てて中途半端な整備をして飛ばしてたとか、燃料が漏れるOリングの知識がなかっただとか、後になって結論づけられていますが、それもみんなあとのあと。
そして、改善策が練られ、何とか今の技術に辿りついている。

事故が起こって何百人の死者が出たり、みんなの目の前でシャトルがどっかーんと爆発する前に対応なんてできないんです。

 

この住宅は安全で地震や天災が起きても100年先も大丈夫とか言ってますけどね、
そんなもん無いんです。はっきり言って。

そもそも100年先にその会社が存続する保障すらない(笑)


何度も書いておきます。
人知人智で予測できることなんて知れてるってことです。

 

 

3、全体的なノリが危険判断基準を下げてしまう

群集心理とも言いますよね。
赤信号みんなで渡れば怖くない” というフザけた川柳みたいなのもありました。
あれですよあれ。
ちょっとくらいなら大丈夫って感じでやってしまうあれ。

まぁ大丈夫だからやってみよーって感じの。

しかし、ノリは絶対悪ではありません。

人類はそのノリがあったおかげで発展してきたのですから。
ちょっとしたリスクを冒すことで新たな知見を得られたり、意外な発見があったおかげです。
適度な群集心理も変なタイミングで発揮されるとやばいってことでしょうか。


要するに


結局のところ、人が安全というのは過去に血塗られた失敗や事故があって、
それをフィードバックしているに過ぎないってこと。

だから、何かが改善されるまでは安全な機械や設備、道具だから。。。と過信してはいけないってことです。

これからの時代、緩やかだけど技術も進歩するでしょうが、あきらかに
それを担う技術者は減っていきます。

つまり怪我をする機会も減ることでしょう。

そうなれば経験則はどんどんなくなっていく癖に、頭でっかちの理論的な設備やシステムがどんどんでてくるでしょうから、突然大事故が起こるなんてこともまったく不思議ではないのです。

 

技術論ではありませんが、昨日、理研の笹井さんが亡くなられたというニュースが話題になっていました。

あれだって多少そういうことですよ。事故が起こらなければ対応もできない。

気が付けば過熱報道になってしまって、殴られっぱなしになってしまった彼をつぶしてしまった。
彼はマスコミに応対できる人物としてではなく、優秀な科学者であったのにそれを人類は生かしきれずに葬り去ってしまった。
実際に彼が生きていたら…なんてもはや意味のない議論だとおもいますが、その事故を教訓に糞マスコミのやり方がいさめられたらなと思います。