『会社とは、言い換えると営利団体ともいう。
基本的に同じ建物や敷地内で活動し、同じ釜の飯を食い、ほぼ一日を過ごす。
その中で業務を行うために、組織/分業体制が敷かれている。
企画部門、営業部門、開発設計部門、製造管理部門、品質管理部門、デザイン部門、経理部門、人事総務部門…簡単に言えば、棲み分けできてるわけだ。
そして一般社員として入社したからには、その部門のどこかで働くことになる。
社会人になって何もできない若者が、腰を落ち着けて基本スキルを身につけていく。
いわば社会人としての基本動作を学ぶというのは、教育プログラムが全くない状態よりも目的意識も高まるし、達成感もでるし、一人前にするのが早いだろうから、それはそれで大切だ。
しかし、居すぎるというのも問題だ。
その職場で業務達成技能としての専門性やスキルは身に付くが、
高確率でバランス感覚の無い人間が出来上がってしまうんだよ。
たとえば、組立作業工員。
初めは製品1つ組立てるのがとても遅い工員でも、
訓練次第でどんどん上達する。
センスや個人差はもちろんあるが、組立作業の能力が身につく。
そして、、、その工員が10年作業した後、組立作業以外に何ができる??
たとえば、そればかりやってきた工員が、
市場のお客さんの評価を把握したり、図面が描けたり、設備を作ったりできるか?
もちろん、みんなで協力して業務目標を達成するのはいいことだと思う。
しかし分業体制が行きすぎるのは、しらない/できないことが多い社員を作る原因になっているんだ。
そんな現象は企業側にとっても、リスクだ。
逆に、多様なスキルをもつ社員がいることは、変化に対応できる組織であるということだ。
だから定期的に社員を人員配置転換や部署移動を行うわけだ。。。
・・・それから、人事采配の権利を持つ役員たちが、社員のスキル構築計画を間違えたらどうなる?
会社の発展する機会を損失するのはもちろんのこと、
個人が冷遇され、やりたくない事を長年やり続けることになったらどうなる??
そして、どんな理由であれ、
自分が経営者でない限り、会社というのは、いつか辞めるものだ。
今までは終身雇用制があり、定年になって年金もそこそこ貰え、
贅沢しなければ悠々自適に余生を過ごすことが出来た。
でもな、、、光太郎。
俺たちにそんな未来が待っていると思うか?
どの政治家が舵を取っても、日本経済は閉塞していく。
日本の人口ピラミッドを見ても、減少傾向にあるのは確実だ。
会社にしがみつき、目先の給料に安寧するのも選択。
今の話をリスクと捉え、目先を危険にさらしてでも未来に対するリスクヘッジをするのも選択。。。
難しい時代になったよな、、、光太郎(笑)
』
光太郎は、ただ頷いて先輩の言うことを聞くばかりだった。
バブル全盛期はボーナスだけで軽四が楽に買える時代があったという。
そんな時代はおろか、考え方を変える時代が絶対に来るだろう。
もちろん閉塞した業界もあれば、どこかで将来性の見込める業界もある。
色々と課題意識を持ち、日々思索にふける光太郎。
ふと頭によぎったのは、今までに読んだ本の中にあった内容だった。。。。
つづく(笑)