有限無限

雑感、書評、セラピーの事、そして時々工学技術的なことなど…

follow us in feedly

【光太郎の朝】100人の1歩なのか、1人の100歩なのか?

 

『おい、光太郎。最近聞いた話なんだがな、、、
会社の方針がひょっとして、”1人で100歩ではなく、100人の1歩を選択する”ことになるのかもしれない・・・』

 

同僚から聞いた光太郎は思わずあっけにとられた。

 

同時に、最近流行りの ”進撃の巨人” というマンガを想起したのだった。
(いや、もう完全にメジャーになり切って、浸透していると言った方がいいのかもしれない。)

 

光太郎は1,2巻しか読んでいないのだが、端的に彼なりにこのマンガを評すると。。。

  ===================== ===================== =====================

中世なのか未来なのか、何やらよくわからない時代背景やストーリー設定なのだが、なんだか心に響く表現を持ち合わせたこのマンガ。

得体の知れない全裸の巨人たちが、人間を襲いにやってくる。
人々はそれから身を守るべく築き上げた城郭都市に住み、近づいてきた巨人たちを城壁で食い止めるよう武装して戦って何百年になる。

都市の中に住む若者たちは巨人たち対抗すべく戦うと同時に、いつまでも巨人の恐怖におびえて将来も生きていくのではなく、自分たちが城郭の外に出ることで新たな発見や新天地があるのではないかと模索していくべきだという考えを持っていく。

 

なぜ巨人なのか、なぜ人間たちは巨人に襲われ食べられるのか?
そのような城郭都市に住まなければならなかったのか?
それぞれが少しずつ明るみにされていく・・・という展開だ。

 

あのマンガ、フィクションであるにも関わらずなぜか人の心を打つものがあるからこそ、人気があるのだろう。

 ===================== ===================== =====================

 

なぜ光太郎があのマンガを想起したのか?

・・・冒頭、同僚に言われた これからは100人の1歩になる という話からだ。

 

今までは1人の100歩が優先であった。

従来 技術というのは、自社の中で培うものであった。

精度の高い工具や加工機設備は金さえ出せば手に入る。

しかし、必ずしもそれらを買い揃えたからといって、魅力的な製品を作ったり、

高精度なものを加工できるとは限らない。

その会社が売ろうとしている製品を、いかにして、早く、安く、品質良く作り上げられるか?

だからこそ、培った技術を用いてその会社でしか作れない物を作ることが企業の強みでもあったし、それを担えることが技術者として喜ばしいことであった。

また、誰しもが技術革新に携われるものではない。
知識や発想、発展欲に乏しい者には荷の重い業務であるし、失敗したら後ろ指を指されるかもしれない。そういった業務に向いているかどうかも重要な観点であったのだ。


まるで、進撃の巨人の登場人物である若者のように
生活を少しでも幸せにするために、塀の外へ出て、既存の縄張りや方法論から解き放たれて、さらに広い世界の新天地を求めるかのように。
そして新天地の探索の途上、獣や巨人に食べられるのかもしれない。
しかし、そんなリスクを乗り越えてでもあまりある、成功という名の果実を求めて。。。


もちろん、全員がそのような行動をとることはできない。
その任務は、それを果たすべく各種能力的に秀でた人間になされるべきだし、投資予算にも限度がある。 
だからこそ、1人の100歩の発展スタイルであったのだ。
そして、先遣隊が成功した場合、後続の人間が続くといった具合に。


しかし、光太郎は会社の考え方が変遷しているのに気が付いたのだった。

 

長期雇用に疑問を感じた若者が中途で仕事を辞めていくようになり、
日本にも技術者流出問題が存在する。

また、技術は身につけた時点で、早々にコピーされるリスクが年々高まり、新たに革新的な技術を生み出したとしても結局、その技術を買おうと思えば買える時代にもなってきたからだ。

 

であるなら、技術発展は二の次にしておき、社員全員のスキルを底上げすることによって、数人が抜けたってリスクヘッジはできるだろうということだろう。

 

そういう意味での100人の1歩ということなのだろう。

しかしそれは、技術発展という観点でいえば、停滞を意味する。

 

そんな状況で本当に良いのだろうか?

こんな狭い組織の狭い了見の世界で生きることが光太郎自身にとって良いのだろうか・・・

 

そんな思いも光太郎を突き動かし始めていたのであった。。。

 

 

進撃の巨人(1) (講談社コミックス)

進撃の巨人(1) (講談社コミックス)