有限無限

雑感、書評、セラピーの事、そして時々工学技術的なことなど…

follow us in feedly

【光太郎の朝】とある先輩との会話

光太郎は、新人配属2か月目にして、早速現場での作業を命じられた。

作業内容は非常に単純なもので、
金属材料を加工機械にセットしてボタンを押し、
加工が終わると取り出し、箱に入れ、また次の材料を・・・ というような流れだ。
新人だから、こんなもんか。
と思い、作業を行っていた光太郎。

作業中、先輩の健が通りかかった。


  健:『どや?おもろいか?』

光太郎:『さぁ、、、まだやり始めたところだからよくわかりませんね。。。』

  健:『そのうち飽きるよ。』

光太郎:『ですかねぇ・・・飽きたらどうしましょう?』

  健:『そこから得られるものを探せばいい。』

光太郎:『????』

  健:『フィールドワークしろ(笑)』
光太郎:『なんですか?それ。』

  健:『ただ物を生産するだけでは、一日得るものがないだろう? 遅かれ早かれ、日本は将来、付加価値の低いモノづくりを手放すか、海外に移管していく。
今はこれでいいが、間違いなくそうなる。現に、第二次大戦後のメイドインジャパンは、低品質を意味したって俺たちの大先輩が言ってたよ。今、加工貿易で儲けている日本もそのうち、東南アジア諸国に移管していく。中国なんて、もう自動化が進んでるってこの前駐在してる同期が言ってたくらいだ。』
光太郎:『そ、そうなんですか!?てことは、僕のモノづくり人間としての将来はどうなっていくんでしょう!!??』

  健:『それは俺にもわからんよ。でも、日々疑問や課題をもって生きることは重要だ。この本すすめるよ。どうせお前も海外に行かされる。それまでに、予備知識だな。。。』

そうやって光太郎は、二冊の本を進められた。

著者は海外の工場でフィールドワークを行い、海外での工員がどんな心情や価値観で仕事に向き合い、折り合いをつけているのかといったことを論じている本だという。

光太郎は、実感がないまま手渡された本を取り、、、今夜の合コンの事で一杯であった脳裏の片隅にスペースを作り、記憶に留めた。。。『け、健さん、、、ありがとう。。。(涙)』



村から工場へ ―東南アジア女性の近代化経験

村から工場へ ―東南アジア女性の近代化経験

 
微笑みの国の工場: タイで働くということ (フィールドワーク選書)

微笑みの国の工場: タイで働くということ (フィールドワーク選書)